Steam版『クロノ・トリガー』について
Steam版『クロノ・トリガー』は、2018年2月28日のリリース当初、厳しい評価に晒された。
しかし、スクウェア・エニックスによる度重なるアップデートにより、現在では「非常に好評」と評価されるまでに改善されている。
本稿では、その変遷と具体的な改善点について詳述する。
発売初期の不評点と主な改善点
リリース当初のSteam版『クロノ・トリガー』が不評だった主な理由は、SFC版ではなくスマートフォン版をベースに移植されたことにあった。
ユーザーからは以下の点が特に批判された。
- UI(ユーザーインターフェイス)の使いづらさ: スマートフォン版のUIがそのまま移植されたため、PCでの操作に不向きであった。「ゲームパッドを使ってもマウス操作が必要になる」点が特に指摘された。
- 改善: 複数回にわたるアップデートでUIが大幅に改善された。
ゲームパッドやキーボードでのプレイが快適になるよう、バトル画面を含む各画面のUIが変更され、メニュー画面から「パッド/キーボード」と「タッチパネル/マウス」のインターフェースを選択できるようになった。
- 改善: 複数回にわたるアップデートでUIが大幅に改善された。
- グラフィックと画面品質: SFC版と異なる画面比率や、モバイル版からのアップスケールによる画質の粗さが不満点として挙げられ、ドット絵がぼやけて見えるという声も多数あった。
- 改善: 最初のアップデートで「オリジナルグラフィック」を選択できる機能が追加され、ドット絵の再現性が向上した。ワールドマップのキャラクターグラフィックも調整され、ドット表現が美しくなった。
- 動作の重さ・ロード時間: 特定の場面での処理落ちやロード時間の長さもユーザーのストレスとなっていた。
- 改善: アップデートにより、特定の場面での動作の遅延(処理落ち)が緩和された。
- 価格設定: 2018年4月2日までの限定版がPS4版(1234円)よりも高価な1944円であったことも、低品質な移植に対するユーザーの不満を増幅させた。
- 現状: その後、セール時には大幅に値下げされることが多くなり、例えば2018年8月には50%オフの972円で販売された。
また、30周年記念セールなどではさらに安価に購入できる機会もある。
- 現状: その後、セール時には大幅に値下げされることが多くなり、例えば2018年8月には50%オフの972円で販売された。
その後の大きな改善と現在の評価
発売当初は「賛否両論」または「やや不評」の評価であったが、スクウェア・エニックスはユーザーからのフィードバックに真摯に対応し、特に2018年4月から8月にかけて複数の大規模なアップデートを実施した。
これにより、初期の不満点の多くが解消された。
さらに、2022年3月にはバージョン1.5のサプライズアップデートが行われ、21:9のウルトラワイドスクリーン表示に対応し、1.5倍のオートバトルモードが追加されるなど、PC版としての快適性がさらに向上した。
これらの継続的な改善の結果、Steam版『クロノ・トリガー』のユーザーレビューは「非常に好評」(全レビューの88%が高評価、1万件以上のレビューに基づく)に転じている。
これは、名作RPGをPCで快適に楽しみたいというユーザーの期待に応えた結果と言えるだろう。
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【まとめ】
Steam版『クロノ・トリガー』は、発売当初の困難な船出から、開発元の継続的な努力によって見事に名誉挽回を果たした。
特にUIの改善、グラフィックの選択肢の追加、動作の安定化、そしてワイドスクリーン対応といったPC環境に合わせた機能強化が、ユーザーからの評価を大きく押し上げた。
BGMの評価は初期から変わらず高いため、総合的に見て現在はPCで『クロノ・トリガー』を楽しむ上で推奨できるバージョンの一つである。

